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シリコンバレー起業日記

シリコンバレーでSearchManというアプリ開発社向けのマーケティングツールを作っています。

英語が「使える」ようになる方法

最近、僕の周りで英語を習得するというのが、楽天社員以外でもかなり話題になっているので、自分の(限られた)経験も踏まえて書きます。

 

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■ゴール設定

まず「英語ができるようになる」というのをもう少しちゃんとゴール設定する必要があります。「英語ができる」にもいくつかレベルがあって、

  1. 英語圏に住めるようになる(日常生活ができる)
  2. 英語で仕事が出来る(主に社内向けに英語を使える)
  3. 英語で営業・マーケティングが出来る(社外向けに英語を使える)
  4. 英語で論理的な文章がしっかり書ける
  5. 英語だけで生きていける

の5つのうちどれが必要なのかを自分が把握する必要があります。

 

■僕の場合

アメリカ(シリコンバレー)に来て5年くらい経ちます。最初の2年間は、スタンフォードのComputer Scienceで研究員。その後3年間はSearchManという会社を起業しています。

今現状で、1)と2)は問題なく出来ます。

4)はそこそこできます。これは僕、研究者だった時に、英語でしか論文を書かないようにしていたので、その時のトレーニングのおかげで出来るようになったという感じです。例えば、取締役会の資料を英語で作ったり、ビジネスプランを英語で書いたり、Provisional Patentを英語で書くくらいは、他人の力を借りなくても、できるということです。

逆に、3)と5)は出来ません。

僕の場合、家の中は100%日本語で、家の外に出ると(会社に行くと)100%英語になります。うちの会社は、日本語ができる人は僕しかいないので、ビジネスは全て英語です。

 

■一番良くある間違い

僕の限られた経験から、という前提つきではありますが、一番よくある間違いは「日本人同士で英語を勉強しようとすること」です。

英語圏で育っていれば、子供でも3歳になれば英語が喋れるようになります。これは何故かというのを考えると、「英語を話す環境にいるから」というだけなんですよね。3才児が皆さんより賢いわけがありません。単に、そういう環境にいるから喋れるようになるのです。

従って、一番効率が良い言語学習方法は、「英語を使わざるを得ない状況に身を置くこと」です。ただ、ここにも落とし穴があります。

同じ言語でもプログラミング言語の例で考えてみてください。初心者が毎日、プログラミングをすると決めても、一向に上達しないというケースは多いかと思います。それは何故かというと良い「見本」が無いからです。英語も同じ。周りに良い「見本」がない状態でいくら努力しても無駄です。

従って、一番大事なことは、「英語ネイティブの人が過半数いる状態で、英語を使わざるを得ない状況に身を置くこと」です。これさえ出来れば、かなりの確率で英語ができるようになります。

 

■まずは基本が大事

エンジニアの人は、英語=新しいプログラミング言語、と置き換えて見てください。最初にやるべきことは、その言語の文法とある程度の語彙を覚えることですよね。

英語も言語なので、基本的には同じで、文法とか1500語程度の単語は必要です。大学センター試験で160点(8割)くらい取れるイメージでしょうか。

ここが危ない人は、まずはちゃんと塾とかに通ったほうが良いかと思います。

ただ、僕が知る限り、ほとんどの人はこのレベルは既にクリアできている(のに英語が出来ないと思っている)ので、あまり意識しないほうが良いかとも思います。

TOEICTOEFLが何点、というのは、そういったことが何か(昇進・入社等)の条件になっていないのであれば、無視した方が良いと思います。英語がちゃんと使える人は、TOEICTOEFLの点数も出ますが、TOEICTOEFLの点数が高くても英語が使えない人をたくさん知っています。つまり、試験で高得点を取るのが目的でないのであれば、より実用性が高いこと(本当に英語が使えるようになること)をゴールにするのが正しいと思います。

 

さて、前置きが長くなりますが、それでは本題へ。

 

 

1) 英語圏に住めるようになる(日常生活ができる)

(仕事等とは関係なく)英語圏に住む、というだけでもそれなりに大変です。例えば、

  1. (現地の)スターバックスでコーヒーが注文できる
  2. レストランでちゃんと注文できる
  3. スーパーで一人で買い物ができる
  4. 自動車免許が取れる
  5. 銀行口座の開設ができる
  6. (日本語業者を使わずに)アパートの契約ができる(注:アメリカの場合、アパートや家を借りる場合、不動産屋を通さずに直接オーナーと契約することが多いです。)

などなど、単に「住む」だけでこれらのことが必要になります。これらのことは(当たり前ですが)英語圏で育った人なら、普通の人なら誰でも出来ます。

 

これらができるようになるにはどうしたらいいか?

(ふざけるなと言われそうですが)実地訓練しかありません。実際に住み始めることです。いくら日本でこれらのシミュレーションをしても、現地での一回の失敗に勝るものはありません。幸い、これらは一度失敗しても大したダメージがないか、あるいは、簡単に再チャレンジができるものばかりなので、「当たって砕けろ」が一番正しい戦略だと思います。3ヶ月も住めば誰でもこれらはできるようになります。

 

2) 英語で仕事が出来る(主に社内向けに英語を使える)

英語で仕事ができるというレベル間としては、以下のようなものです。

  1. 英語でフォーマルなメールが書ける
  2. 英語で(友達宛や同僚宛の)インフォーマルなメールが書ける
  3. 対面の英語の会議で、相手の内容が理解でき、自分の言うべきことが論理的に言える
  4. 英語の電話会議で、相手の内容が理解でき、自分の言うべきことが論理的に言える(アメリカは広いので、電話会議、ものすごく多いです。)
  5. 英語で、自分の仕事内容をプレゼンできる、質疑応答をこなせる

最初に申し上げますが、よく英語のマンツーマンレッスンなどに通う人がいますが、お金の無駄だと思います。それをするくらいなら、半年休みをとって、英語圏に住んだほうが早いですし、安いです。半年が難しければ、3ヶ月でもやらないよりはマシです。

私が知る限り、楽天も、基本的にはマンツーマンレッスン等の機会を提供していましたが、それでもゴールをクリアできない人は、実際に英語圏に行って勉強する、ということをしていました。(個人的には最初から、全員、英語圏に放り出したほうがよっぽど安くて効率が良いと思っています。)

また、よく、日本人同士で英語で会議をしよう、というのを目にしますが、ダメです。「見本」がいないからです。「英語ネイティブ」の人が過半数以上の場に身を置かないとダメです。仕事と同じで、「できる人」の近くにいるのが一番です。そうすれば勝手にノウハウを盗めます。

繰り返しになりますが、一番早いのは「英語ができる人に囲まれて、英語で仕事が出来ないと困る状況を作る」ということです。

短期間でも英語圏に住んで仕事をするのが一番です。出張ベースとかだとできるようにならないので、覚悟を決めて、半年(とか3ヶ月)とか続けてやる方がずっとマシです。

よく「そんなに時間がない」という人がいますが、そう思うのであれば、貴方の人生の中で英語のプライオリティがそこまで高くないのかなぁと思います。もし本当に英語が無いと死ぬ!(倒産する!、この先未来が無い!)と強く思うのであれば、最低3ヶ月間、何が何でも時間を捻出する方法を考えることを強くオススメします。繰り返しますが、これが一番、時間的にもコスト的にも安いです。

 

3) 英語で営業・マーケティングが出来る(社外向けに英語を使える)

これも実例を先に挙げましょう。

  1. 自社のウェブサイト上で、営業効果があるメッセージを書ける
  2. 自社の営業資料を作成できる
  3. 自分ひとりで法人営業に行って、案件をクローズできる
  4. (ちょっと趣旨とはずれますが)スターバックス等の店員ができる

これはかなり難しいです。やはり「英語で仕事をする」というのと「英語でモノが売れる」というのは全然違います。僕も、英語で営業してちゃんと売るというのは、(日本語でそれをするのに比べて)ずっと難しいなぁと今でも、思っています。

例えば、僕が(英語圏で)スターバックスの店員ができるか、と聞かれたら、正直あまり自信がありません。単にコーヒーを売るだけの仕事と言えばそれまでですが、あれだけ複雑なメニュー・注文を言われた通りに受けて、相手の名前も一回で聴きとって遅れなく処理する自信がありません。(注:アメリカでは、日本よりもずっと複雑な注文をする人が多いです。また、必ず名前を聞いて、名前をカップに書きます。)

もう少し別の例を挙げます。日本に来ている留学生が新卒でどこかの日本の会社に就職したことを想定してください。彼(女)は留学生としては非常に日本語が上手ですが、彼(女)が営業マン(ウーマン)として実際に営業に行って、果たしてモノが売れるでしょうか?あるいは、皆さんよりも良いキャッチコピーを考えつくでしょうか?(注:外国人であることを差別する意図はありません。言語スキルの話です。)

これができるようになるには、英語がネイティブでない人がMBAを出たくらい(英語圏で2年間勉強したくらい)ではダメです。個人的な感覚ですが、

  1. 中高大の3つのうち2つ以上を英語圏で過ごす
  2. 英語がネイティブな人と結婚する
  3. 英語圏で5年以上働く

の3つのいずれかをしないとできるようにならないと思います。(私は、英語圏で5年以上働いていますが、まだちゃんとできる気がしませんが、もし私が最初から営業・マーケティング系のキャリアだったなら、できるようになっていたかもしれません。)

 

4) 英語で論理的な文章がしっかり書ける・論理的なスピーチができる

これも想定利用ケースを挙げます。

  1. 英語で論文を書く
  2. 部下が10人以上いて、チームをマネージメントする必要がある
  3. 会社のマネジメントとして、経営判断をする
  4. 会社の取締役として、経営陣を正しい方向へ導く

これらの場合は、一般的に、それ専門の高度教育(修士・博士)を英語で受けるのが一番早いかと思います。きちんとした英語の基礎があり、かつ(英語とは関係なく)本人の適正にあっていれば、トレーニングで何とか出来る場合が多いです。

役割にもよりますが、必ずしも3)で述べたような、英語営業力が無くても大丈夫な場合もあります。

これらの役割が本人の適正にあっている、という前提ですが、一番の早道は、英語圏修士MBA含む)・博士に行く、だと思います。

 

5) 英語だけで生きていける

実例:

  1. 救急車で病院に運ばれても、英語だけで何とかやりくりできる
  2. 若者のパーティにいって一緒に盛り上がれる
  3. 母国語でそれをするのと同じレベルで)英語で異性を口説ける

これが実は一番難しい。例を挙げましょう。日本語がネイティブで無い人に「これ、超やばいくないですか?」と言うと、恐らく多くの人は、

  1. This is good
  2. This is NOT good

のどちらを意図しているのか困ると思います。日本語がネイティブならこの場合の意味は「1」だと分かるわけですよね。でも、これはネイティブじゃなければ非常に難しいです。

もう一つ、日本語の例を上げると、「全然、大丈夫です」でしょうか。これも、ネイティブでない人は「『全然』は否定形と一緒に使う」と文法の授業で教えられていますので、相当難しい日本語だと思います。

英語でも似たようなことが起こります。英語ネイティブでは当然理解できることが、ネイティブでない人にはチンプンカンプンという話です。

もう一つの例は病院。例えば「盲腸」や「結膜炎」を英語で何と言うのか、というのは辞書を引かないと言えません(でした)。健康な人が普段生きていく上では「盲腸」や「結膜炎」が言えなくても何も困らないのですが、いざというときに割と困ります。

英語圏で、パーティに行ったり、子育てをしたりすると痛感します。本当に、スラングという訳ではないのですが、やはりどの言語でもそういったものがあるので、それが分かるようになるには、また全然違うレベルが必要です。これができるようになるには、

  1. 英語がネイティブな人と結婚する
  2. 英語がネイティブな人を彼氏・彼女にする
  3. 20歳までに英語圏に5年以上住む

のいずれかしかないかと思います。

 

まとめ

以上、厳しい話ばかりであまり参考にならなかったかもしれませんが、大事な点は、

  1. どのレベルで英語をできるようになりたいかを自分で把握する。
  2. 実地訓練(英語圏に住む)を積むのが一番の早道。
  3. 「見本になる人が過半数以上」という状況を作り出すのが一番。それが出来ないなら、英語スクール・レッスンはあまり効果なし。

 

今すぐできること

どのレベルを目指すのかにもよりますが、スタートアップで英語を習得する必要がある人にお勧めなのは、海外の大学のサマースクールにとりあえず行ってみることです。僕が行っていたスターフォードだと、以下のようなものがあります。

 

EFS (English as a Second Language for International Students)
http://www.stanford.edu/group/efs/
これは、英語がネイティブでない人が、スタンフォードの正規の大学(院)に入る前に英語になれましょうというコースです。
基本的に英語の学校で、あまりレベルは高くないですが、英語漬けにはなれます。一番上のクラスにいないと辛いです。(あまり勉強になりません。)

 

Stanford Summer School
http://summer.stanford.edu/
これはプログラミングとか、ビジネスとかテーマごとに、普段の学期でやっている授業を、夏版に改変して外部の人でも受けられるようにしているというものです。
授業単位で取れますので、好きな授業だけ取って、それ以外の時間は別のこと(例えば自社の仕事)をするとかが出来ます。
レベル的には、学部生レベルのものが多いので、英語の勉強にはなるかと。