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シリコンバレー起業日記

シリコンバレーでSearchManというアプリ開発社向けのマーケティングツールを作っています。

英語が「使える」ようになる方法

最近、僕の周りで英語を習得するというのが、楽天社員以外でもかなり話題になっているので、自分の(限られた)経験も踏まえて書きます。

 

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■ゴール設定

まず「英語ができるようになる」というのをもう少しちゃんとゴール設定する必要があります。「英語ができる」にもいくつかレベルがあって、

  1. 英語圏に住めるようになる(日常生活ができる)
  2. 英語で仕事が出来る(主に社内向けに英語を使える)
  3. 英語で営業・マーケティングが出来る(社外向けに英語を使える)
  4. 英語で論理的な文章がしっかり書ける
  5. 英語だけで生きていける

の5つのうちどれが必要なのかを自分が把握する必要があります。

 

■僕の場合

アメリカ(シリコンバレー)に来て5年くらい経ちます。最初の2年間は、スタンフォードのComputer Scienceで研究員。その後3年間はSearchManという会社を起業しています。

今現状で、1)と2)は問題なく出来ます。

4)はそこそこできます。これは僕、研究者だった時に、英語でしか論文を書かないようにしていたので、その時のトレーニングのおかげで出来るようになったという感じです。例えば、取締役会の資料を英語で作ったり、ビジネスプランを英語で書いたり、Provisional Patentを英語で書くくらいは、他人の力を借りなくても、できるということです。

逆に、3)と5)は出来ません。

僕の場合、家の中は100%日本語で、家の外に出ると(会社に行くと)100%英語になります。うちの会社は、日本語ができる人は僕しかいないので、ビジネスは全て英語です。

 

■一番良くある間違い

僕の限られた経験から、という前提つきではありますが、一番よくある間違いは「日本人同士で英語を勉強しようとすること」です。

英語圏で育っていれば、子供でも3歳になれば英語が喋れるようになります。これは何故かというのを考えると、「英語を話す環境にいるから」というだけなんですよね。3才児が皆さんより賢いわけがありません。単に、そういう環境にいるから喋れるようになるのです。

従って、一番効率が良い言語学習方法は、「英語を使わざるを得ない状況に身を置くこと」です。ただ、ここにも落とし穴があります。

同じ言語でもプログラミング言語の例で考えてみてください。初心者が毎日、プログラミングをすると決めても、一向に上達しないというケースは多いかと思います。それは何故かというと良い「見本」が無いからです。英語も同じ。周りに良い「見本」がない状態でいくら努力しても無駄です。

従って、一番大事なことは、「英語ネイティブの人が過半数いる状態で、英語を使わざるを得ない状況に身を置くこと」です。これさえ出来れば、かなりの確率で英語ができるようになります。

 

■まずは基本が大事

エンジニアの人は、英語=新しいプログラミング言語、と置き換えて見てください。最初にやるべきことは、その言語の文法とある程度の語彙を覚えることですよね。

英語も言語なので、基本的には同じで、文法とか1500語程度の単語は必要です。大学センター試験で160点(8割)くらい取れるイメージでしょうか。

ここが危ない人は、まずはちゃんと塾とかに通ったほうが良いかと思います。

ただ、僕が知る限り、ほとんどの人はこのレベルは既にクリアできている(のに英語が出来ないと思っている)ので、あまり意識しないほうが良いかとも思います。

TOEICTOEFLが何点、というのは、そういったことが何か(昇進・入社等)の条件になっていないのであれば、無視した方が良いと思います。英語がちゃんと使える人は、TOEICTOEFLの点数も出ますが、TOEICTOEFLの点数が高くても英語が使えない人をたくさん知っています。つまり、試験で高得点を取るのが目的でないのであれば、より実用性が高いこと(本当に英語が使えるようになること)をゴールにするのが正しいと思います。

 

さて、前置きが長くなりますが、それでは本題へ。

 

 

1) 英語圏に住めるようになる(日常生活ができる)

(仕事等とは関係なく)英語圏に住む、というだけでもそれなりに大変です。例えば、

  1. (現地の)スターバックスでコーヒーが注文できる
  2. レストランでちゃんと注文できる
  3. スーパーで一人で買い物ができる
  4. 自動車免許が取れる
  5. 銀行口座の開設ができる
  6. (日本語業者を使わずに)アパートの契約ができる(注:アメリカの場合、アパートや家を借りる場合、不動産屋を通さずに直接オーナーと契約することが多いです。)

などなど、単に「住む」だけでこれらのことが必要になります。これらのことは(当たり前ですが)英語圏で育った人なら、普通の人なら誰でも出来ます。

 

これらができるようになるにはどうしたらいいか?

(ふざけるなと言われそうですが)実地訓練しかありません。実際に住み始めることです。いくら日本でこれらのシミュレーションをしても、現地での一回の失敗に勝るものはありません。幸い、これらは一度失敗しても大したダメージがないか、あるいは、簡単に再チャレンジができるものばかりなので、「当たって砕けろ」が一番正しい戦略だと思います。3ヶ月も住めば誰でもこれらはできるようになります。

 

2) 英語で仕事が出来る(主に社内向けに英語を使える)

英語で仕事ができるというレベル間としては、以下のようなものです。

  1. 英語でフォーマルなメールが書ける
  2. 英語で(友達宛や同僚宛の)インフォーマルなメールが書ける
  3. 対面の英語の会議で、相手の内容が理解でき、自分の言うべきことが論理的に言える
  4. 英語の電話会議で、相手の内容が理解でき、自分の言うべきことが論理的に言える(アメリカは広いので、電話会議、ものすごく多いです。)
  5. 英語で、自分の仕事内容をプレゼンできる、質疑応答をこなせる

最初に申し上げますが、よく英語のマンツーマンレッスンなどに通う人がいますが、お金の無駄だと思います。それをするくらいなら、半年休みをとって、英語圏に住んだほうが早いですし、安いです。半年が難しければ、3ヶ月でもやらないよりはマシです。

私が知る限り、楽天も、基本的にはマンツーマンレッスン等の機会を提供していましたが、それでもゴールをクリアできない人は、実際に英語圏に行って勉強する、ということをしていました。(個人的には最初から、全員、英語圏に放り出したほうがよっぽど安くて効率が良いと思っています。)

また、よく、日本人同士で英語で会議をしよう、というのを目にしますが、ダメです。「見本」がいないからです。「英語ネイティブ」の人が過半数以上の場に身を置かないとダメです。仕事と同じで、「できる人」の近くにいるのが一番です。そうすれば勝手にノウハウを盗めます。

繰り返しになりますが、一番早いのは「英語ができる人に囲まれて、英語で仕事が出来ないと困る状況を作る」ということです。

短期間でも英語圏に住んで仕事をするのが一番です。出張ベースとかだとできるようにならないので、覚悟を決めて、半年(とか3ヶ月)とか続けてやる方がずっとマシです。

よく「そんなに時間がない」という人がいますが、そう思うのであれば、貴方の人生の中で英語のプライオリティがそこまで高くないのかなぁと思います。もし本当に英語が無いと死ぬ!(倒産する!、この先未来が無い!)と強く思うのであれば、最低3ヶ月間、何が何でも時間を捻出する方法を考えることを強くオススメします。繰り返しますが、これが一番、時間的にもコスト的にも安いです。

 

3) 英語で営業・マーケティングが出来る(社外向けに英語を使える)

これも実例を先に挙げましょう。

  1. 自社のウェブサイト上で、営業効果があるメッセージを書ける
  2. 自社の営業資料を作成できる
  3. 自分ひとりで法人営業に行って、案件をクローズできる
  4. (ちょっと趣旨とはずれますが)スターバックス等の店員ができる

これはかなり難しいです。やはり「英語で仕事をする」というのと「英語でモノが売れる」というのは全然違います。僕も、英語で営業してちゃんと売るというのは、(日本語でそれをするのに比べて)ずっと難しいなぁと今でも、思っています。

例えば、僕が(英語圏で)スターバックスの店員ができるか、と聞かれたら、正直あまり自信がありません。単にコーヒーを売るだけの仕事と言えばそれまでですが、あれだけ複雑なメニュー・注文を言われた通りに受けて、相手の名前も一回で聴きとって遅れなく処理する自信がありません。(注:アメリカでは、日本よりもずっと複雑な注文をする人が多いです。また、必ず名前を聞いて、名前をカップに書きます。)

もう少し別の例を挙げます。日本に来ている留学生が新卒でどこかの日本の会社に就職したことを想定してください。彼(女)は留学生としては非常に日本語が上手ですが、彼(女)が営業マン(ウーマン)として実際に営業に行って、果たしてモノが売れるでしょうか?あるいは、皆さんよりも良いキャッチコピーを考えつくでしょうか?(注:外国人であることを差別する意図はありません。言語スキルの話です。)

これができるようになるには、英語がネイティブでない人がMBAを出たくらい(英語圏で2年間勉強したくらい)ではダメです。個人的な感覚ですが、

  1. 中高大の3つのうち2つ以上を英語圏で過ごす
  2. 英語がネイティブな人と結婚する
  3. 英語圏で5年以上働く

の3つのいずれかをしないとできるようにならないと思います。(私は、英語圏で5年以上働いていますが、まだちゃんとできる気がしませんが、もし私が最初から営業・マーケティング系のキャリアだったなら、できるようになっていたかもしれません。)

 

4) 英語で論理的な文章がしっかり書ける・論理的なスピーチができる

これも想定利用ケースを挙げます。

  1. 英語で論文を書く
  2. 部下が10人以上いて、チームをマネージメントする必要がある
  3. 会社のマネジメントとして、経営判断をする
  4. 会社の取締役として、経営陣を正しい方向へ導く

これらの場合は、一般的に、それ専門の高度教育(修士・博士)を英語で受けるのが一番早いかと思います。きちんとした英語の基礎があり、かつ(英語とは関係なく)本人の適正にあっていれば、トレーニングで何とか出来る場合が多いです。

役割にもよりますが、必ずしも3)で述べたような、英語営業力が無くても大丈夫な場合もあります。

これらの役割が本人の適正にあっている、という前提ですが、一番の早道は、英語圏修士MBA含む)・博士に行く、だと思います。

 

5) 英語だけで生きていける

実例:

  1. 救急車で病院に運ばれても、英語だけで何とかやりくりできる
  2. 若者のパーティにいって一緒に盛り上がれる
  3. 母国語でそれをするのと同じレベルで)英語で異性を口説ける

これが実は一番難しい。例を挙げましょう。日本語がネイティブで無い人に「これ、超やばいくないですか?」と言うと、恐らく多くの人は、

  1. This is good
  2. This is NOT good

のどちらを意図しているのか困ると思います。日本語がネイティブならこの場合の意味は「1」だと分かるわけですよね。でも、これはネイティブじゃなければ非常に難しいです。

もう一つ、日本語の例を上げると、「全然、大丈夫です」でしょうか。これも、ネイティブでない人は「『全然』は否定形と一緒に使う」と文法の授業で教えられていますので、相当難しい日本語だと思います。

英語でも似たようなことが起こります。英語ネイティブでは当然理解できることが、ネイティブでない人にはチンプンカンプンという話です。

もう一つの例は病院。例えば「盲腸」や「結膜炎」を英語で何と言うのか、というのは辞書を引かないと言えません(でした)。健康な人が普段生きていく上では「盲腸」や「結膜炎」が言えなくても何も困らないのですが、いざというときに割と困ります。

英語圏で、パーティに行ったり、子育てをしたりすると痛感します。本当に、スラングという訳ではないのですが、やはりどの言語でもそういったものがあるので、それが分かるようになるには、また全然違うレベルが必要です。これができるようになるには、

  1. 英語がネイティブな人と結婚する
  2. 英語がネイティブな人を彼氏・彼女にする
  3. 20歳までに英語圏に5年以上住む

のいずれかしかないかと思います。

 

まとめ

以上、厳しい話ばかりであまり参考にならなかったかもしれませんが、大事な点は、

  1. どのレベルで英語をできるようになりたいかを自分で把握する。
  2. 実地訓練(英語圏に住む)を積むのが一番の早道。
  3. 「見本になる人が過半数以上」という状況を作り出すのが一番。それが出来ないなら、英語スクール・レッスンはあまり効果なし。

 

今すぐできること

どのレベルを目指すのかにもよりますが、スタートアップで英語を習得する必要がある人にお勧めなのは、海外の大学のサマースクールにとりあえず行ってみることです。僕が行っていたスターフォードだと、以下のようなものがあります。

 

EFS (English as a Second Language for International Students)
http://www.stanford.edu/group/efs/
これは、英語がネイティブでない人が、スタンフォードの正規の大学(院)に入る前に英語になれましょうというコースです。
基本的に英語の学校で、あまりレベルは高くないですが、英語漬けにはなれます。一番上のクラスにいないと辛いです。(あまり勉強になりません。)

 

Stanford Summer School
http://summer.stanford.edu/
これはプログラミングとか、ビジネスとかテーマごとに、普段の学期でやっている授業を、夏版に改変して外部の人でも受けられるようにしているというものです。
授業単位で取れますので、好きな授業だけ取って、それ以外の時間は別のこと(例えば自社の仕事)をするとかが出来ます。
レベル的には、学部生レベルのものが多いので、英語の勉強にはなるかと。

 

 

なぜシリコンバレーは日本よりも「失敗に寛容」だと思われるのか

今日、とある新聞社のインタビューを受けていて、聞かれました。

 

記者の方「シリコンバレーの方が、日本よりも失敗に寛容だ、と良く言うじゃないないですか。失敗しても何度でもチャンスが与えられるイメージがあります。」

僕「うーん、そんなことないと思いますよ。」

 

シリコンバレーでも、失敗は失敗として認識される。FailConfなど、失敗を大っぴらに語り合う場はあるものの、やはり失敗は失敗だ。

多くの起業家は、自分たちの事業が立ちいかなくなると、会社の資産とチームを売却して、自分の利益よりもまず先に投資家に出来るだけお金を返そうとする。こうなるともはや「義理」の世界だ。事業が軌道に載っていない状態での売却の場合、会社の価値=チームの価値だから、創業者自身は数年ロックアップされる。売却額が十分大きくない場合は、自分の売却益なんてゼロに近い場合だってある。それでも投資家にちゃんとお金を返そうとする起業家は多い。

投資家からお金を調達して、そのお金を返せなかったら、当然、その投資家が良く思う訳はない。その起業家に、もう一度賭けてみよう、と思うかと言えば、大半のケースではそうは思わないだろう。(もちろん例外はいくらでもある。)

 

このあたりの話は、別にアメリカだろうが、日本だろうが差がないと思う。失敗した人が失う信頼・信用、再度チャレンジする時の難しさは基本的には同じだろうとは思う

 

でも、一つだけ違うなぁと思うことがある。シリコンバレーでは、会社の財務と個人の財務を紐付けることは絶対しない。日本だとよくあるじゃないですか、代表取締役の連帯保証、みたいな奴。

 

昔はVCから資金調達する際にも、社長が連帯保証されられた、みたいな話を聞いたことがあります。今はさすがにそこまでひどくは無いのかもしれませんが、ちょっとしたリース契約を結ぶ際、オフィスを借りる際、代表取締役の連帯保証ってまだ残ってませんか?

 

僕の感覚だと、シリコンバレーではそんなことあり得ない。法人のモノは法人のモノであって、個人のモノとは完璧に区別される。(万が一)僕の会社が上手く行かなくなって、破産させなければならないとしても、僕が会社の負債を背負うことはない。もちろん、僕は信用を失うだろうし、それはとても辛いことだけど、会社の負債を個人に背負わせてしまったら、本当にその人は起業家としてだけでなく、人として再起不能になるだろう。

 

そもそも、シリコンバレーのスタートアップは、創業者や社長がクビになる、なんてことは日常茶飯事。そんな風に人材がとっても流動的なので、「連帯保証」なんてものが成り立たない。

 

というわけで、まとめると、

  • シリコンバレーでも日本でも「失敗に対する寛容さ」は変わらないと思います。
  • どちらでも失敗したら、有限責任で自分が投資したお金と、お金を返せなかったという事実が「信用」という形で失われます。
  • 唯一違うとすれば、シリコンバレーでは、基本的には法人の負債を個人に背負わせることはありません。

という点が違いかと思いました。

シリコンバレーで起業したいならE2ビザ(投資家)ビザは出来るだけ避けるべし

ちょっとマニアックな話になりますが、誰もこういうことを書かないので、敢えて書いておきます。

(尚、私は移民弁護士ではないので、実際にビザ取得等をする際は、自己責任で移民弁護士にちゃんと相談してから実行してください。私に相談や文句を言われても責任取れません。)

 

アメリカで起業する場合、いろいろなビザのオプションがあるが、比較的日本人に人気なのが、E2ビザ(投資家ビザ)。詳しくはこちら

このビザは、特定の国(例えば日本)の国籍を有する人が、議決権の50%以上を持っている場合、特定の国出身の人(例えば日本人)が投資家、あるいはマネージャーとして、アメリカで働くことができる、というビザです。

一般的には、ビザを取りたい人数 x $100-200K(1000-2000万円)程度、アメリカの会社の銀行口座にお金がある必要があって、その上で、それなりに(有形)資産を持っていなければならない(つまり、お金と事業に対して明示的にコミットしている)ということが必要です。

 

このビザは、日本からお金を「持ってくればいい」ので、他のビザに比べると、比較的良く使われます。特に、日本の円という通貨は他の国の通貨に比べてずっと強いので、日本人にとってはこのビザの障壁が比較的低いのです。他のビザはここで書いたように、基本的には「アメリカ人には出来ない仕事ができる助っ人」にしか出ないので、高度な専門性が要求されます。

 

例えば「アメリカで寿司屋を開業する」みたいな、未来永劫、自己資本をキープできる場合にはとても良いビザなのですが、スタートアップには向きません。なぜなら、シリコンバレーでスタートアップをやる場合、ほぼ確実に創業者の持分が50%を割るからです。日本人の持分が50%を割った瞬間に、(理屈上)このビザは無効になります。もちろん、アメリカの移民局は全会社の株主構成を毎日調べるわけではありませんので、バレるまでアメリカにいても大丈夫、と考える人もいるでしょうが、万が一バレたら、即刻国外通報です。(そして、これは「不法移民」ということになるので、恐らくそれ以降、アメリカに入国出来なくなるなどのペナルティが課されるでしょう。)

 

シリコンバレーのスタートアップは、平均的に、

  • シードラウンドで約20%程度
  • シリーズAで約33%程度

の株が希薄化します。従って、E2ビザでいると、シリーズAが出来ないのです。(シリーズAをやると、自分自身がアメリカに居られなくなる。)

 

そして、僕が最近、某・移民弁護士から聞いた話だと、シリーズAに行く前でも場合によっては大変なことになる、という話です。それは、

  1. E2(投資家)ビザでアメリカで働いていて、
  2. Convertible Notesで資金調達していて、
  3. まだConvertはしてないが、Convertすると日本人の持分が50%が割ることが分かっている

というケースです。この場合、移民局の監査で一発でアメリカ退場になるケースが発生した、とのことです。

 

例えば、凄く単純化すると、創業者が日本人で最初100%株を持っていて、(日本人以外から)$5Mのcapで$3M調達していると、このConvertible NotesがConvertすると、創業者の株は自動的に50%以下になるわけです。(Aラウンドがあろうがなかろうが、どうやってConvertしても、50%以上になります。)

 

この場合、実際にConvertしたかどうか(株が顕在化しているかどうか)に関わらず、移民局はアウト(E2の資格が無い)という判定をするようです。つまり、即刻国外追放です。

 

なので、コンサバで賢明な弁護士は、E2の場合は、Convertible Notesを勧めません。というか、ビザ申請前にConvertすることを勧めます。「Convertした後でも、日本人が50%以上です」と言えるようにするためです。

 

というか、僕、これに引っかかる会社を少なくても3社は知っていて、皆、移民局に見つからないようにと祈るしかありません。違法状態だけど、監査かビザ更新までは分からない、という奴です。

 

少なくても次回のビザ更新時にアウトになりますが、それまでに永住権取るというのも時間的には現実的でないので、悩ましいですね。

 

更に問題なのは、アメリカの弁護士というのは、結構いい加減です。弁護士によっては、convertすると創業者が50%割ると分かっていても、1) convertしなければ大丈夫(従って、notesをずっと延長しまくればいい)、2) E2は5年なので、5年以内に永住権申請するとか、他のビザにするとか考えればいいw(そして、実際には5年フルでもらえずに2年しか貰えないとか)とか、後先考えずにいろいろ言う人がいます。弁護士も商売なので、目の前の案件が欲しいのです。そして、E2ビザというのは、弁護士のフィーが高く取れるビザなので、弁護士はE2をものすごいオススメしてきます

皆さん、移民弁護士選びには十分注意してください。

 

 

簡単にフローチャートにまとめると、理系、あるいはMBA等の(初期のスタートアップに必要な分かりやすいスキルがある)人なら

  1. H1Bがタイミング的にあうなら、間違いなくH1B
  2. O1が可能ならO1
  3. L1が可能ならL1

というのがいいかと思います。この3つのビザは、グリーンカード申請もしやすいです。会社が起動に乗った時点で、すぐグリーンカードを申請しましょう。

 

文系の人(除くMBA)は大変です。H1BやO1はちょっと難しい場合が多いです。

  1. L1が可能ならL1
  2. それでダメなら仕方なくE2

ということになってしまうのですが、上述のように、創業者がE2でいるというのは、会社としてものすごいリスクです。投資家側から見ると、「自分が1/3のシェアを取ると、この創業者は母国に帰らねばならない」という状態になるので、普通、投資出来ません。

 

シリーズAも日本の投資家からやればいい、と言う人も居ますが、そんなんじゃ勝てませんね、グローバルな競争に。それなら最初から日本でやった方が良いかと思います。

なぜ印鑑(やクスリの対面販売)は必要なのか

僕が楽天(東京)に居た時からずっと続いてた「クスリのネット販売」がようやく解決したようだ。たしか2009年頃からやっているので、4年以上かかったことになる。

 

はっきり言って、「クスリのネット販売」は楽天から見れば(少なくても経済的には)どうでもいい話だ。ケンコーコムは困るかもしれないが、少なくても、楽天の規模から見れば、無視出来るほど小さい。国の経済からみても、「クスリのネット販売」がOKになろうが、なるまいが、GDPへの影響は多分誤差の範囲だ。

 

では、何故こんなに皆が騒いだのか。

 

新経連は「対面・書面原則の撤廃」を訴えている。この「クスリのネット販売」は、「対面・書面原則の撤廃」の氷山の一角、というわけだ。

 

僕はこの「対面・書面原則の撤廃」にもちろん賛成なのだが、2013年の今に、わざわざ経済団体を作って、政府の委員がこんなことを声高に言わねばならないという事実に驚愕したりもする。

 

 海外に住んでみると「ここがヘンだよ、日本」と思うことが良くある。印鑑もその一つ。(最初に断っておくが、僕は、文化としての印鑑はとても格好いいと思うし、残るべきだとは思っている。以下で言う印鑑は、日常生活の個人・法人認証に利用される印鑑だ。)

 

何故だかよく分からないが、日本では、本人を証明するのに印鑑が要求される。銀行口座を作る、大学の入学書類、契約書、あらゆるところで印鑑が要求される。会社によっては、社内の稟議書類に印鑑が必要な場合もあるだろう。ここでの印鑑の役割は「私はこの文書を確認して同意しました」という本人確認の役割を果たす(のだと思う)。

 

でも良く考えて見て欲しい。皆さん、印鑑を忘れたことありませんか?そして「印鑑忘れたなら、近くの書店に行って、100円の簡単な印鑑でいいので買ってきてもらえません?」とか言われことありません?あるいは、友達に頼まれて「XXという苗字の印鑑買ってきてくれない?」と頼まれたことありません?

 

少なくても僕は印鑑を買う・作るのに本人確認を求められたことが無い。つまり、この印鑑というシステムは、個人認証を担うには脆弱すぎる。僕が「鈴木」さんの印鑑を買って、鈴木さんの代わりに印鑑を押すことが出来る。あまりにも簡単だ。

 

これを言うと「いやいや、印鑑証明があります」と言う人がある。役所に行って、印鑑を登録することが出来る。これは死ぬほど面倒臭い。引越しをする度に、住民票が変わる度にやり直さねばならない。そして、最大に問題なのは、銀行口座を作る時などに、「印鑑登録済の印鑑」を求められたことは一度もない。つまり、既にもうインフラとして崩壊している(と僕は思う)。

 

この印鑑が残り続ける限り、「対面・書面原則」は絶対になくならない。保証してもいい。

 

日本以外の先進国ではどうなっているのか。

 

アメリカでは、もちろん文化的に印鑑なんてものは無い。全てサイン(署名)が当たり前のように使われている。アメリカは、契約書等も「電子署名」で良いというルールになっているので、例えば投資契約書のような超重要な契約書であっても、印刷して署名して郵送する、みたいなことをしなくていい。お互い、PDFの状態で、専用のソフトウェアを使って、自分の署名を「電子的に」PDFに貼り付ける。これだけ。

 

銀行とのやり取りも非対面で出来る。何か自分の銀行口座に大きな変更をしなければならないとしよう。事前に担当者に電話して「こういう変更をしたいんだけど、フォームをメールで送って」と言うと、変更内容の全てが記入されたPDFが送られてくる。僕が電子署名をして、送り返すと、それで手続き完了。よほどのことが無い限り、銀行の窓口なんて行かない。銀行も窓口に来る人が減る方がコストが下がる。

 

聞いた話ではあるが、おとなり韓国で90年台に国を上げてIT化を進めた際に最初にやったのは、この「印鑑の廃止」だと言う。

 

サイン(署名)の場合、次のような良いことがある。

  1. (ほぼ)誰でも出来る。道具が不要。(印鑑忘れました、みたいなことが起こらない)
  2. 偽装するのが難しい。(サインを真似るのは非常に困難。)
  3. 仮になりすましや偽装が起こっても、本人の署名かどうかを確認できる技術が割と進化している。少なくても、引越しの度に登録しなきゃならない「印鑑登録」よりはマシだろうと思う。

 

確かにこの方が合理的だ。でも、仮に僕が政府の委員になって、「印鑑を廃止して、全部サインでいいことにしましょう!」と提案したとする。どうなるか。

 

恐らく「ネットのクスリ販売」と同じことが起こる。印鑑の業界団体がものすごい勢いで政府にロビーングして、僕の提案なんてあっという間にかき消されるだろう。多分、1週間かからずに消される。もしかしたら、僕ごと消されるんじゃないかwという勢いで消されると思う。

 

そりゃそうだ。印鑑を作って、売って生きている人たちからすれば、こんなに困ることは無い。そんな提案をする奴は殺したくもなるだろう。

 

そこで一つ提案がある。印鑑で商売をしている人を優先的に「公証人(notary, notary public)」にしてはどうだろう。

 

アメリカでも、超厳密な本人確認が必要な場合がある。その場合、自分でサインしただけではなく、「Xさんは確かにこの書類にサインしました」ということを証明する「公証人, notary」という人がいる。公証人には普通の人でも慣れる。UPS(民営郵便局みたいなところ)などに良くいる。彼らは「公証」するのにお金を取る。そんなに大きな金額ではないが、「この人はこの書類にサインしました」と証明するだけでお金が貰えるので、割といい商売だとは思う。

 

「印鑑を全て無くして、印鑑で商売している人に公証人になってもらう」(そして、「対面・書面原則の撤廃」)というのはいかがでしょうか。

日本でもクラウド・ソーシングは流行ると確信した件

(ステマっぽく見えるかもしれませんが、誰から頼まれたわけでもなく、自分で書きたいから書いています。クラウドワークスの吉田社長とは知り合いですが、頼まれて書いているわけではありません。)

 

皆さん、クラウドソーシングというのをご存知でしょうか。自分が会ったことも無い人にネット上で仕事を依頼できる、というサービスです。本当にそんなことが出来るのか、と思われる方も多いでしょう。これが出来るんですね。

 

僕は、普段シリコンバレーに住んでいて、仕事はほぼ100%英語ということもあり、英語圏のクラウドソーシングサービスは、個人でも会社でも割と頻繁に使っています。英語圏だとoDeskとかElearnceが有名です。僕の実例を上げると、

  • 確定申告をしなければならず、過去のレシート・領収書をエクセルに打ち込まないといけない。=> まとめて全部、写真を取って「このレシートをエクセルに入力してください」
  • 英語のマーケティング・コピーの校正をしたい。=> 「この英語の文章(目的はxx, 対象はyy)校正してください」

みたいな形で良く使っています。

 

英語圏の場合、クラウドソーシングを使う明確なメリットが存在します。それはコストです。英語圏には、アメリカ以外に、アメリカよりもずっとずっと人件費が安い(が英語がネイティブな)国が存在します。どのくらい安いかというと、例えば上記のようなタスクだと、時給が$1-2(100-200円)くらいです。

 

アメリカで米ドルで生活している僕達にとっては、時給$1-2ドルではとても生活できませんが、もっと生活費が安いインド・フィリピン・バングラディシュ等の国では、英語がネイティブでありながら、時給$1-2ドルというのは決して悪い時給ではありません。

 

実際、英語圏のクラウドソーシングにもっと「難しい」仕事を頼んだこともあります。が、上手く行かなかった。時給$20-30くらいの仕事を頼むと、「うーん、悪くは無いけど、これだけ払うなら、リアルでも探せる」という具合になってしまいます。

 

という事情もあり、僕は日本でクラウドソーシングは流行らないと思っていました。理由は以下の2つです。

  1. 日本人を時給100円で雇うのはどう考えても不可能
  2. 英語圏は日本語圏の10倍の人口がいるにも関わらず、ハイレベルな仕事は向かないことを体感してしまった

 

が、クラウドワークスを眺めていたら、英語圏のクラウドソーシングとは、ちょっと雰囲気が違うなぁと思い始めました。明らかに、英語圏では見られないような、高スキルな人がたくさんいる。これは何か違うなぁと思い始めました。

 

僕は全く利害関係はないのですが、こうなったら、試してみるか、ということで試しました。とはいえ、会社のお金を使って、ビジネス関係のことを試すのは少々怖かったので、まずは、僕自身の似顔絵を作ってもらいました。

僕が似顔絵を欲しいと思った理由は、

  1. 僕自身の見た目があまり良くないw
  2. 僕の場合、経歴だけを見ると、ものすごいとっつきにくい人に見えるとよく言われるので、もっと親近感を持ってもらえるようにしたい。
  3. どうせ日本のサービスでトライするなら、アイコン(似顔絵)など、日本人が強みを持っている分野からスタートしてみよう。

という3つの理由からです。実際にやってみた結果がこちらです。

費用は1万円(自腹です)。期間は3日間。これで、40名から計62件のご提案を頂きました。

 

たった1万円で、62件の提案です!ちょっと信じられないくらい驚きました。ビックリの一言です。

予想の数倍以上提案をいただいてしまったので、選ぶのがもの凄く大変でした。妻と何度も相談し、Facecbookの友人に何度か投票をしてもらい、ようやく決まりました。ichi_164さんによるこの似顔絵です。

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私の中で最後まで、迷ったのは、amyworkさんによるご提案でした。それ以外にも、UBIK13さん、すずき匠さん、kojikojiさんからも素晴らしいご提案を頂きました。

 

今回の一連の実験を通して、何を感じたか。

  1. こんなにご提案いただいたのに1人にしか支払えないのがむしろ心苦しい。
  2. 経済格差が事実上ゼロの日本語圏でもクラウドソーシング流行ると思う。
  3. 日本の方が、クラウドソーシングにいる人のレベルが圧倒的に高い。アメリカ人の友達に「1万円でこんなに提案もらったんだ」と言ったら、本気で驚いていました。
  4. 一つの理由は、日本の教育水準が非常に高いからだと思う。
  5. もう一つの理由は、やはり日本は先進国の中では、随分昔ながらの勤務形態を引きずっていると言わざるを得ないが、その旧来型の「日本株式会社」の仕組みになじまないが、才能を持っているという人はたくさんいて、そういった人がオープンな市場で競争できる仕組みは、世の中にとって非常に価値があると思う。

 

今回、1万円自腹を切って実験してみて、似顔絵アイコンだけではなく、ものすごい勉強をさせてもらいました。

 

というわけで、うちの会社の仕事も少し出して見ることにしました。

SearchMan(アプリ開発者向けApp Store SEOツール)のインフォグラフィック・デザイン

こちらは3万円にしてみました。こういうのをたくさんやって行きたいと思っていて、ご提案をいただいた人の中で、弊社が素晴らしいなぁと感じた方には、このブログで紹介するのはもちろん、次々とお仕事をお願いしていきたいと思っています。

 

読者の皆様、この記事と、上述のお仕事のシェアをよろしくお願いします。

なぜYcombinator(や500Startups)は凄いのか

献本御礼。最近流行りのインキュベーター(ベンチャー企業の初期をサポートするプログラム)の第一人者であるYcombinatorドキュメントリー。生々しい良書。

Yコンビネーター   シリコンバレー最強のスタートアップ養成スクール

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書評を書けるほど偉くないので(笑)、少し考察。

なぜYcombinator(や500Startups)は凄いのか。答えは「プロダクト(製品)のアドバイスが出来る投資家は非常に稀だから」です。文脈的に重要なので、従来型のVC(ベンチャーキャピタル)とインキュベーターの比較をします。

 

従来型のVCは

  • 大体1〜5億円をシリーズAで投資。1/3程度のシェアを取る。
  • 投資タイミングは、トラクション(ユーザー数や売上の伸び)が十分に出てから。
  • 担当者が社外取締役になる。
  • 1パートナーあたり10社が限界(取締役会は大体月1回やるので、10社の社外取締役になると、それだけで10日=月の半分が埋まります。)

他方、インキュベーターは、

  • 創業間もない会社に数百万円を投資。シェアは数%(<10%)程度が一般的。
  • 投資タイミングは、創業間もない(あるいは創業前。僕が500Startupsからの投資が決まった時、まだ会社がありませんでした。僕がインキュベーターのクラスで一番登記が遅くて「お前、早く会社作らねーと金振り込めねーぞ」と良く言われてましたw)
  • 担当者が社外取締役になることはほぼない。(ので、原理的には無限に投資できる。YCombinatorも500Startupsも年に100社程度投資してます。)

という違いがあるとよく言われています。

 

従って、従来型のVCは基本的に、プロダクトのアドバイスとかしなくていいんですよね。もうある程度、プロダクトが出来上がって、トラクション(ユーザー数や売上の伸び)が十分に出てるタイミングで投資するから。言い方は悪いですが「まぐれでも何でもいいから、トラクションが出た会社にだけ投資する」というのが従来型のVCの世界です。

従来型のVCの2つの大きな役割は、

  1. 営業(大きなディールを紹介する、クローズするのを助ける)
  2. 採用(良い人を連れてくる)

だけです。シリコンバレーで凄いと言われるVCはこの2つが凄く上手です。逆に、この2つ以外は、どんなに凄いVCでも期待しない方がいいです。

 

でも、実際に起業した人なら分かると思うのですが、最初はトラクション(ユーザー数や売上の伸び)が十分に出る」状態にするのが、とにかく一番大変なんです。大体ここでコケる。インキュベーターはこのプロセスを助けてくれます。

YCombinatorのポール・グレハムは

「Make something people want(ユーザーが欲しがるものを作れ)」

と良く言っていますし、500Startupsのデーブ・マクルアーは

「Problem first, solution second(何を作るかよりも、解くべき問題を見つける方が先)」

と良く言ってます。これって、どちらも「プロダクトの作り方」の話なのです。従来型のVCは普通、こんなこと言ってくれません。

 

YCombinatorではインキュベーターの期間は、

「1)コードを書く、2)ユーザーと話す、以外の事はするな」(ユーザーが欲しがるものを作る、以外のことはするな)

とよく言われるみたいです。500Startupsでは、

「Design, Data, Distribution」(プロダクトを使いやすくし、あらゆる指標を測定できるようにし、データに基いて顧客獲得せよ)

と散々言われます。

 

この「プロダクトの作り方」のアドバイスをする、というのは実に難しいです。が、一方で、YCombinatorの成功を見て分かるように、分野をまたいで普遍的な能力であるような気もします。

成功した起業家なら、全員「プロダクトの作り方」のアドバイス出来るか、というとそうでもありません。実際、ポール・グレハムは、ViawebというECの会社を作り、Yahooに売却していますが、ITバブルの真っ只中での$50M(約50億円)での売却ですので、シリコンバレー的には「超大ヒット」という訳ではありません。デーブ・マクルアーもスタートアップの創業者としての大きな成功はありません。でも、彼らには、何故か「プロダクトの作り方」のアドバイスが出来るんですよね。不思議な特殊能力と言わざるを得ません。

 

という訳で、YCombinatorという世界最高峰のインキュベーターで何が起こっているのか、起業家たちがどのような「プロダクトの作り方」のアドバイスを貰っているのか、そこに何か普遍的なアドバイスがあるのか、を知りたい人にはオススメの書です。

 

Yコンビネーター   シリコンバレー最強のスタートアップ養成スクール

Yコンビネーター シリコンバレー最強のスタートアップ養成スクール

シリコンバレーはなぜ強いのか。

これまで多くの学者が「なぜシリコンバレーは強いのか」、「第二のシリコンバレーを作るには」という研究をしてきました。僕の専攻は技術経営学だったので、この手の論文はたくさん読みました。

でもしっくりくる理屈はありませんでした。シリコンバレーに住んで約4年経って、自分で起業してみて良く分かりました。

 

答えは簡単。「世界中から、優秀な移民を輸入する仕組みがあるから」です。別にシリコンバレーで生まれ育っった人が特別な訳ではありません。シリコンバレーには世界中から、常に新鮮でハングリーで優秀な人材が集まる仕組みがあるのです。

 

なぜ、優秀な移民が多いと、スタートアップが多く産まれるのか。

下世話な話ですが、お金の話をします。所謂「アメリカン・ドリーム」という奴です。

アメリカは世界で一番豊かな国です。アメリカよりも貧しい国に産まれて、「アメリカで一山当てれば億万長者になれる」(そして、家族でいい生活ができて、子供にいい教育を与えられる)というだけでも、移民がアメリカで事業を起こしたいと思うのに十分でしょう。

この移民だけが持つ一山当ててやろう「ハングリー」さというのは、教育で教えるのは難しいでしょうし、本当に苦労ばかりのスタートアップの辛さを乗り越えていくには、一番のエネルギーの源泉とも言えるでしょう。実際、アメリカのテクノロジー起業Top25の多くは、移民1世か2世によって創業されています。

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どのくらいの「優秀な移民」が必要なのか。

アメリカの場合、人口は約3.1億人。うち、13%に相当する4000万人が移民。うち、(全人口の)約1%に相当する400万人が「優秀な移民」です。 

たった1%です。人口の1%分だけ優秀な移民を「輸入」することが、シリコンバレーの強さの源泉です。

 

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アメリカという国は、国の成り立ちからして、人口のほとんどが元はと言えば移民です。日本などアメリカ以外の国で、たった1%でも移民を受け入れようと言おうものなら、大変な騒ぎになるでしょう。これが出来ているのは、シンガポールくらいでしょうか。

 

「優秀な移民」になるのはどのくらい大変なのか

アメリカもいくら移民に寛容だとは言え、誰でもアメリカ人にしてくれるわけではありません。一番手っ取り早いのが、アメリカ人と結婚することです。すぐに永住権が貰え、3年間でアメリカ人になることができます。(上の図だと、そうして帰化した人は、人口の約6%, 1900万人います。)

一番上の赤い部分の「優秀な移民」になるには、通常、以下のステップを踏みます。

  1. 自分に特殊なスキルがあり、専門職ビザ(H1B)を取得して、アメリカの企業で働く。
  2. H1Bビザは最大6年しか有効でないため、6年以上、アメリカの企業が必要だと見なされれば、永住権を申請してくれる。
  3. 永住権が取れて、5年間経つと、アメリカに帰化する権利が得られる。

とてつもない長いステップですが、アメリカはこうして、何重にもふるいにかけて、優秀な人を常に輸入し続けられるシステムを持っています。 

ただ、最近、シリコンバレーの人たちを中心に「ビザが足りなすぎる。もっと優秀な人を輸入すべし」という声が強くなってきています。下の図では、アメリカの大学を卒業する外国人は年に35万人もいるのに、H1Bは年に8.5万人にしか発行できないから、せっかくアメリカに留学して、アメリカに働きたいと思っている優秀な人をみすみす母国にかえしてしまっている(だからもっとビザの発行数を増やすべし)という主張です。

 

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というわけで、政府主導の第三の矢が悪いとは言いませんが、本当に競争力のある経済を作りたいなら、実は「人口の1%」分だけ優秀な人を輸入し続ける、という方法もある、という話でした。

 

追記。

なぜ、ボストンやニューヨークではなく、シリコンバレーなのか、という質問をいただきましたので私見を。

その1。歴史的に見て、西海岸の方が移民に寛容なんだと思います。実際、シリコンバレーにいると圧倒的にアジア系(含・インド系)の人が、東海岸に比べて多いです。

その2。気候も大きいと思います。かなり過ごしやすい気候です。退屈と言えば退屈ですが、4月から10月まではほとんど雨が降らず、毎日カラッと晴れていて、辛いスタートアップ生活の癒しになります。これまた私見ですが、僕はシリコンバレーは「人間が勤勉に働ける最も暖かい気候」だと思っています。シリコンバレーよりも暖かい(例えば、ロスやマイアミに行く)と、もう午後4時くらいになると、ワイン飲みたくなるんですよね。気候が良すぎて真面目に働くのが辛すぎます。シリコンバレーは暖かいのですが、ロスやマイアミほどではないので、人間が真面目に働けるギリギリの暖かさだと思っています。

 

追伸。

久しぶりに日本語でブログを書こうと思って書いています。Tweet、いいねをよろしくお願いします!フィードバックも是非お待ち申し上げます。