シリコンバレー起業日記

シリコンバレーでSearchManというアプリ開発社向けのマーケティングツールを作っています。

なぜシリコンバレーは日本よりも「失敗に寛容」だと思われるのか

今日、とある新聞社のインタビューを受けていて、聞かれました。

 

記者の方「シリコンバレーの方が、日本よりも失敗に寛容だ、と良く言うじゃないないですか。失敗しても何度でもチャンスが与えられるイメージがあります。」

僕「うーん、そんなことないと思いますよ。」

 

シリコンバレーでも、失敗は失敗として認識される。FailConfなど、失敗を大っぴらに語り合う場はあるものの、やはり失敗は失敗だ。

多くの起業家は、自分たちの事業が立ちいかなくなると、会社の資産とチームを売却して、自分の利益よりもまず先に投資家に出来るだけお金を返そうとする。こうなるともはや「義理」の世界だ。事業が軌道に載っていない状態での売却の場合、会社の価値=チームの価値だから、創業者自身は数年ロックアップされる。売却額が十分大きくない場合は、自分の売却益なんてゼロに近い場合だってある。それでも投資家にちゃんとお金を返そうとする起業家は多い。

投資家からお金を調達して、そのお金を返せなかったら、当然、その投資家が良く思う訳はない。その起業家に、もう一度賭けてみよう、と思うかと言えば、大半のケースではそうは思わないだろう。(もちろん例外はいくらでもある。)

 

このあたりの話は、別にアメリカだろうが、日本だろうが差がないと思う。失敗した人が失う信頼・信用、再度チャレンジする時の難しさは基本的には同じだろうとは思う

 

でも、一つだけ違うなぁと思うことがある。シリコンバレーでは、会社の財務と個人の財務を紐付けることは絶対しない。日本だとよくあるじゃないですか、代表取締役の連帯保証、みたいな奴。

 

昔はVCから資金調達する際にも、社長が連帯保証されられた、みたいな話を聞いたことがあります。今はさすがにそこまでひどくは無いのかもしれませんが、ちょっとしたリース契約を結ぶ際、オフィスを借りる際、代表取締役の連帯保証ってまだ残ってませんか?

 

僕の感覚だと、シリコンバレーではそんなことあり得ない。法人のモノは法人のモノであって、個人のモノとは完璧に区別される。(万が一)僕の会社が上手く行かなくなって、破産させなければならないとしても、僕が会社の負債を背負うことはない。もちろん、僕は信用を失うだろうし、それはとても辛いことだけど、会社の負債を個人に背負わせてしまったら、本当にその人は起業家としてだけでなく、人として再起不能になるだろう。

 

そもそも、シリコンバレーのスタートアップは、創業者や社長がクビになる、なんてことは日常茶飯事。そんな風に人材がとっても流動的なので、「連帯保証」なんてものが成り立たない。

 

というわけで、まとめると、

  • シリコンバレーでも日本でも「失敗に対する寛容さ」は変わらないと思います。
  • どちらでも失敗したら、有限責任で自分が投資したお金と、お金を返せなかったという事実が「信用」という形で失われます。
  • 唯一違うとすれば、シリコンバレーでは、基本的には法人の負債を個人に背負わせることはありません。

という点が違いかと思いました。